車検では、スピードメーターの誤差が審査範囲に含まれていることをご存じでしょうか?
スピードメーターにおける速度の誤差はどのくらい許容されるか、また点検がどのように行われるのかを知っておくと、車検を通すのに有利に働くでしょう。
結論として、スピードメーターは一定の範囲であれば誤差が許されており、定められた範囲内であれば車検に合格できます。
また、スピードメーターの点検は車両が製造された年月によって基準が違うため、事前に確認しておくことも重要です。
本記事では、スピードメーターの誤差に関する基準に加え、点検の目的について詳しく解説しまています。
車検を確実に通すためのチェックポイントを知りたい方は、ぜひ記事を最後までご覧ください。
車検はスピードメーターに誤差があると受からない?
結論としては、スピードメーターに表示される速度に誤差があっても定められた基準の範囲内であれば車検に合格できます。
スピードメーターの誤差が大きい場合は、車検に合格できない可能性があるため事前に検査員や車検場に確認することがおすすめです。
車検時の重要なチェックポイントの1つとしてスピードメーターの誤差が挙げられており、正しい表示が安全運転に直結することから必要とされる項目です。
平成18年12月31日以前に製造された車両と、平成19年1月1日以降に製造された車両で基準が違い、それぞれ数値が定められています。
測定結果が基準内であれば、スピードメーター関連の項目は合格となります。
一方で、スピードメーターの誤差が許容範囲を超えている場合は、原因を探しだしメンテナンスが必要となるのです。
車検時のスピードメーターはどれくらいの速度誤差が許される?計算式から解説
スピードメーターの速度表記における誤差は、車の製造年月日によって異なります。
車の製造年月日が2006年12月31日以前と2007年1月1日以降で基準が変わっています。
それぞれの造られた期間でどれくらい速度誤差の基準が変わっているのかを詳しく解説するので、ぜひご参考ください。
2006年(平成18年)12月31日以前に製造された車両の保安基準
平成18年12月31日以前に造られた車における、スピードメーターの誤差の範囲を、定めれた計算式に当てはめます。
- V1=40km/h
- 10×(40-6)÷11≦V2≦(100÷90)×40=30.9090…≦V2≦44.4444…
結果的にスピードメーターの誤差は、30.90~44.44km/hが車検で許されている範囲です。
保安基準で許容されている範囲は広く車検に通りやすいですが、実際のドライブでは想像以上にスピードがでていることもあるため注意が必要です。
2007年(平成19年)1月1日以降に製造された車両の保安基準
平成19年1月1日以降に造られた車における、スピードメーターの誤差の範囲を、定められた計算式に当てはめます。
- V1=40km/h
- 10×(40-6)÷11≦V2≦(100÷94)×40=30.9090…≦V2≦42.5531…
結果的にスピードメーターの誤差として30.90~42.55km/hが保安基準として許容されている範囲となります。
平成18年12月31日以前に造られた車と比較すると、少々速度計の誤差における車検基準が厳しくなっています。
車検時には、純正で指定のあるタイヤを装着しておくことで、問題なく車検を通過できるでしょう。
車検のスピードメーター(速度計)の誤差に許容範囲が設けられている理由
車検時のスピードメーターの誤差に許容範囲が設けられている理由は以下の2つです。
- 自動車のタイヤの状態で結果は変わる
- メーターが計測する数値は実際の速度の実測値ではない
2項目は、装着しているタイヤの状態やメーターの計測方法に関係しています。
それぞれの理由を1つずつ解説していくので、ぜひご参考ください。
自動車のタイヤの状態で結果は変わる
車に装着しているタイヤの状態は、スピードメーターの表示に大きく影響します。
以下の要因により、実際の走行速度とスピードメーターの表示にズレが生じることがあります。
- タイヤの空気圧
- タイヤの摩耗状態
- 路面の状態(凸凹、滑りやすさなど)
- 積載重量
例えば、タイヤの空気圧が低下すると、タイヤの直径が小さくなります。
これにより、実際の走行速度よりもスピードメーターの表示が高くなる傾向があるのです。
また、タイヤが摩耗すると、タイヤの直径が小さくなるため、同様の影響が出ます。
これらの要因を考慮して、誤差が許される一定の基準が設けられているのです。
メーターが計測する数値は実際の速度の実測値ではない
車のスピードメーターは、実際の走行速度を直接測定しているわけではありません。
多くの車では、タイヤやドライブシャフトの回転数から速度を算出しています。
この計算方法には、以下のような特徴があります。
- タイヤの回転数から速度を算出するため、タイヤの状態に影響を受けやすい
- 計算には一定の誤差が生じる可能性がある
- 車両の構造や計算方法によって、誤差の傾向が異なることがある
これらの理由から、スピードメーターの表示に完璧な正確性を求めるのは現実的ではありません。
また、トランスミッションやエンジンのクランク軸にセンサーが取付られているケースもありますが、上記内容と同様に速度は実測値ではありません。
そのため、安全性を確保しつつ、現実的な基準として許容範囲が設定されているのです。
スピードメーターの誤差が車検に関わる理由
スピードメーターの誤差が車検に関わる理由は、主に安全面での配慮です。
- スピード違反を防止するため
- 事故のリスクを軽減させるため
ここからは、車検に関わる2つの理由を1つずつ解説していきます。
スピード違反を防止するため
車検に関わる1つ目の理由は、スピード違反を防止するためです。
スピードメーターの誤差が大きいと、運転者が無意識のうちにスピード違反を犯す可能性があります。
実際の速度よりもスピードメーターの表示が低い場合、運転者は思っているよりも速く走行していることに気付きません。
これは以下のような問題につながる可能性があります。
- 意図せずスピード違反を犯してしまう
- 交通事故のリスクが高まる
- 燃費の悪化や車両の過度な負荷につながる
そのため、車検でスピードメーターの誤差をチェックすることで、違反を未然に防げます。
事故のリスクを軽減させるため
車検に関わる2つ目の理由は、事故のリスクを軽減させるためです。
正確なスピードメーターは、安全運転に欠かせない要素です。
速度が不正確だと、以下のような危険な状況が生じる可能性があります
危険因子 | 運転時の危険 |
---|---|
制動距離の誤認 | 実際の速度が想定よりも速いと、ブレーキをかけてから停止するまでの距離が長くなる |
カーブでの速度超過 | カーブを曲がる際の適切な速度を誤認し、横滑りなどの危険な状況に陥る可能性がある |
車間距離の誤認 | 速度を誤認すると、適切な車間距離を保つことが難しくなる |
これらの理由から、スピードメーターの誤差を定められた範囲に抑えることで、事故のリスクを軽減させられます。
車検時にスピードメーターの誤差をチェックし最適なメンテナンスをすることで、運転者の安全意識を高め、道路交通全体の安全性向上につながるでしょう。
車検時にスピードメーターに誤差が生じる理由や原因
スピードメーターに誤差が生じる理由や原因は、以下の2点です。
- 自動車に装着されているタイヤに異常がある場合
- 装着しているタイヤのサイズが違う場合
タイヤ以外にも様々な要因は考えられますが、ほぼ大半の原因が 装着しているタイヤの摩耗やサイズの違いによるものです。
各項目1つずつ解説するので、誤差が生じてしまう理由を理解しましょう。
自動車に装着されているタイヤに異常がある場合
タイヤに異常がある場合、スピードメーターの誤差が大きくなることがあります。
主な異常とスピードメーターに関する影響は以下の通りです。
誤差生じる原因 | タイヤの状態 |
---|---|
空気圧の不足 | ・タイヤの直径が小さくなり、実際の速度よりメーターの表示が高くなる ・燃費の悪化や偏摩耗の原因にもなる |
タイヤの摩耗 | ・トレッド(接地面)の減少により、タイヤの直径が小さくなる ・実際の速度よりメーターの表示が高くなる傾向がある |
タイヤの変形 | ・激しい衝撃や長期間の使用によるタイヤの変形 ・タイヤの回転が不均一になり、速度計測に影響を与える |
偏摩耗 | ・タイヤの一部分だけが極端に摩耗している状態 ・タイヤの直径が不均一になり、速度計測に誤差が生じる |
装着しているタイヤの異常は、定期的なメンテナンスで予防可能です。
月に1回エアー調整をすることや、タイヤの溝が3mmになったら早めに交換するなどが得策です。
車検前には、装着しているタイヤの状態を確認し、必要に応じて整備や交換をしましょう。
装着しているタイヤのサイズが違う場合
装着しているタイヤのサイズが適切でない場合も、スピードメーターに誤差が生じる原因です。
以下のような状況で問題が起こる可能性があります。
誤差が生じる原因 | 起こりえる問題 |
---|---|
純正サイズと異なるタイヤの装着 | ・車両の仕様と異なるタイヤを装着すると1回転あたりの走行距離が変わる ・スピードメーターの表示に誤差が生じる |
前後で異なるサイズのタイヤを使用 | ・前輪と後輪で異なるサイズのタイヤを使用すると、回転数の差が生じる ・これにより、スピードメーターの計測に影響が出る可能性がある |
スペアタイヤの使用 | ・スペアタイヤが他のタイヤと異なるサイズの場合、一時的に誤差が大きくなることがある |
ホイールサイズの変更 | ・ホイールのサイズを変更し、それに合わせてタイヤサイズを変更した場合 ・総直径が変わることで、スピードメーターの表示に影響が出る |
タイヤサイズの変更を検討する場合は、車両の仕様に適合したサイズを選ぶことが重要です。
また、タイヤを交換する際は、4輪すべてを同じサイズ・同じ銘柄のタイヤに揃えることが望ましいでしょう。
さらに、装着されているタイヤが車両の仕様に適合しているかもチェックされます。
不適切なサイズのタイヤを装着していると、車検不合格の原因になる可能性があるので注意しましょう。
インチアップやインチダウンなど、タイヤサイズを変更する際は、車検に対応するか確認した上で行うことがおすすめです。
車検におけるスピードメーターの誤差についてよくある質問
車検におけるスピードメーターの誤差についてよくある質問は以下の通りです。
- Q1.スピードメーターの誤差は自分で調節できる?
- Q2.車検時にはどのような方法で検査・点検される?
- Q3.合格できない場合は車を買い替えるべき?
車検前に疑問点を解消しておきましょう。
Q1.スピードメーターの誤差は自分で簡単に調節できる?
スピードメーター(速度計)は、速度を計測しているセンサーなどが関わっているため、自分で調節できません。
所有している車両がタイヤサイズなどを変えている場合は、純正サイズに戻すことで車検不合格を避けられます。
事前にメンテナンスできることとすれば、タイヤを純正サイズに戻すことや新品にしておくことが挙げられます。
Q2.車検ではどのような方法で検査・点検される?
スピードメーターを車検時に検査する方法は、速度計が40km/hを維持しているときの実測値で計測します。
自ら陸運局や軽自動車協会へ持ち込む場合は、メーターが40km/hを指したタイミングでパッシングを行います。
一方でディーラーなどの民間指定工場に依頼する場合は、スピードメーターをテストするための専用機械が備え付けられているのです。
いずれにしても、メーターが40km/hを維持したときの実測値で検査される傾向です。
ユーザー車検では、車検前に近くのテスター屋で予備検査をしておくとスムーズに合格できるでしょう。
Q3.合格できない場合は車を買い替えるべき?
スピードメーターの誤差が原因で車検に通らない場合は、タイヤのメンテナンスを行うことで合格できる可能性が高いです。
車が10年以上経過しており10万km以上走行しているなど、他の項目の劣化が目立つ場合は買い替えも検討するべきでしょう。
しかし、車を購入するよりも車検に合格するためのメンテナンスを行う方が、費用は安いといえます。
車の状況と車検を通すための費用のバランスをみて判断しましょう。
もし、車を買い替える際は、買取業者を賢く選んで高額査定を目指すことがおすすめです。
まとめ
スピードメーターの誤差は、車検においてチェックポイントの一つです。
本記事で解説してきた、重要なポイントを以下にまとめました。
- 許容できる誤差の範囲
- 誤差が生じる主な理由
- 車検で誤差をチェックする目的
- 誤差を防ぐための対策
スピードメーターの数値の誤差を軽減させることで、事故のリスクを減らせ、安全運転に繋がります。
車検時だけでなく、日頃からタイヤの状態に注意を払い、適切なメンテナンスを心がけることが大切です。
また、車検をスムーズに合格させるために、以下の項目をチェックしましょう。
- タイヤの空気圧を適正値に調整する
- タイヤの摩耗状態を確認し、必要に応じて交換する
- 装着しているタイヤが車両の仕様に合っているか確認する
- 可能であれば、GPSなどを使って実際の速度とスピードメーターの表示を比較してみる
車検でスピードメーターの誤差について気になる方は、ぜひ本記事で解説した項目を参考にしてください。